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形成外科の現状および将来
大森 清一
1,2
1東京大学形成外科
2東京警察病院
pp.42-49
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911314
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形成外科とは?
皆さんは,形成外科という科名について,まだなじみが少ないことと思う。外国ではPlastic Surgery,Plastic and reconstructive Surgery,Plastische chirurgie,Chirurgie plastiqueなどと称せられているもので,わが国ではこれを一応「形成外科」と呼ぶことにしたのである。この邦訳名は,今から4年前にこの種の学会を作ろうとして集まつた80名あまりの各大学,大病院の諸先生方の間でいろいろ議論し,投票し合つた結果,とり上げられたものである。
さて,形成外科とは一体どんなことをする科であろうか。一言にしていうならば,先天的に不足している部分あるいは後天的に不足になつた部分を補修して,機能的にも外見上にも正常人と同じ程度のものを作り上げることを使命とした分野である。従来でもこの種の外科的手術が行なわれなかつたのではない。一般外科,耳鼻科,整形外科,眼科,泌尿器科などで相当に行なわれていた。たとえば胃癌を切除して,そのあと胃と腸との吻合を行なうことや,泌尿器科で水腎の治療に尿管狭窄部を切除し,尿管を端端吻合したり,水腎の拡張した腎外腎盂を適当に切除したりしたことなども,広い意味ではPlastic Operation(形成手術)である。
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