座談会
“看護婦社会”を動かすもの—テレビドラマ「胎動期」にあらわれた人たち
五十嵐 文子
1
,
壁島 あや子
2
,
木村 みつ
3
,
桑田 起与
4
,
十津川 光子
,
畠中 幸子
5
,
吉田 幸江
6
1国立東京第一病院高等看護学校
2国立東京第一病院小児科
3虎ノ門病院内科
4国立世田谷病院
5東京医科歯科大学看護学校
6東京大学看護学校
pp.22-34
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911254
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前号でお知らせしましたように「胎動期」が11月13日にKRテレビ他18局からドラマとなて放送されました。このドラマは原作と比べ,ストーリーはかなり省略されていましたが,これは登場人物鈴元春子や久米勢津らを通して看護婦社会の多くの矛盾と今一部にまだ残る病院の非近代性をついていることで社会に多くの話題を提供しました。このテレビを御覧になつた方々にお便りいただきました。
(鈴元春子は学生時代の3年間,勉強だけに専念し,優等賞を受けることになりましたが,その晴れの卒業式場で彼女は答辞にかえ,出席者のまえで今までの生活態度を悔い,次のように叫んでいます。"東北のいなかから出てきた私が,言葉のなまりを恥じながら縮んでいた時,ある先輩が次のように忠告してくれました。勉強,勉強,勉強が第一,腹の中で舌を出していてもいいから,先輩たちの気嫌を損ねてはいけない。批判がましい意見や主張を述べてはいけない。私はそのとおり忠実に守つて今日優等生に選ばれました。ところが私の級に卒業保留処分を受けた者がおります。この級友は,級全員の信頼の中に正しいと思うこと,不満に思うこと,建設的なことすべて卒直に発言し不合理だらけの寄宿舎生活や実習の名のもとに学生に負わされている激しい労働などを,改善しようと真剣に取り組んでおりました。ほとんどの級友はまとまつてこのリーダーに協力しました。
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