ナースの意見
「結核に対する正しい知識を」……
丸山 由良
1
1国立宇多野高等看護学院
pp.40-41
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911162
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つい数年前までは死亡原因のトップに上つていた結核も,今は第5位を下まわりつつありますが,このことは患者数をも減らしているといつてよいでしようか。10年前に学校検診で結核を発見され通院治療をしつつ家庭療養をしていたが,手術を決意して入所して来たという若い10年選手,また職場検診で発見されたが会社の重要ポストにいるため,今日入所するということも出来ず開業医の治療を3年間うけたが病気は治癒せず停年までにまだ7, 8年はあるので思いきつて手術を受けることにしたという実業家,隣近所の人に結核を知られては困るといつて,保健婦の家庭訪問を迷惑がつて,正しい療養生活をせず,入所して来た時は,ストレプトマイシン,パス,ヒドラ3者耐性排菌陽性という人は少くありません。早期発見,早期治療の呼ばれている昨今,早期に正しい治療を受けていたなら10年のものは3年で3年のものは1年で治癒したかもしれないのにと思うと結核に対する生ぬるい考えに怒りを感じるのは私1人ではないと思います。
保健所の活動によつて多額の費用と労力で患者を発見してもそれが対岸の火であつてはならないと思います。
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