随筆
生活を巾広く楽しく—〝アメリカのナース達〟
鈴木 満
pp.38-42
発行日 1960年3月15日
Published Date 1960/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911059
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私がひどい吹雪と共にカナダとの国境に近いニューヨーク州の西北部ローチェスター市にある大学の看護学生寮についたのは2月はじめの夜も10時を過ぎてからだつた。
その時に受付の所で2〜3人の看護学生達が大声でしやべつていたが,寮母さんの命令で私を100という部屋に案内してくれ,その後自分達の名前と部屋とを教えてくれた。そんなに遅いのにも拘わらず,それから私を又広い広い通りの向う側にある病院まで看護学生専用の地下のトンネルを通つて連れていつてくれ食堂の説明や適当と思われる人々に適当に紹介をしてくれて,寒さだけでなく他国の雰気囲にカジカミ,ハニカミがちな私を楽しくさせてくれたものだ。その時に2年生だった3人は今年の6月には皆卒業して行つた。その3人についてチヨツトふれてみると—ドナはアメリカで有名なイーストマン音楽学校でもツェロのコースをとつて優秀な成績を貰い時々イーストマン楽団のメンバーに加つて演奏もしたりしていた。そしてそのドナは2ヵ月働き今迄の貯金を全部おろして,夏にはスイスまで行くと計画し,事実遂行した。化学専攻でヴァイオリンをひいていた2メートル以上もあるかと思われる程背高ノツボのスイスのボーイフレンドが帰国してしまつたのでどうしても彼の国を尋ね,もう一度でいい彼のような人と合奏し度いのだと言う。
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