ナースの作文
友へ,他
坪井 洋子
1
1福田病院
pp.61-65
発行日 1960年3月15日
Published Date 1960/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911064
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なつかしい御便り,ありがとうございました。貴女からの御便りを見てまだ3日にしかならないのかと,びつくりしました。もう,1月も2月もたつた様な気がしてなりません。貴女が行かれた日の晩,何かしら無性にさびしくなつて,泣いていました。心の中に大きな穴があいた様な空虚な気持です。勤務の合間にふつと思いついて貴女に電話しようと思い,あわててやめる様な次第です。杉山医院にはもう貴女はいられないんですものね。そんな時を一番さびしく思います。貴女も知らない土地で一人,きつとさびしい思いをしていられる事でしよう。でも照美さん,さびしがつてばかりいてはだめ。これからの貴女の進む道にはどれだけの“いばら”があるか知れません。けれど私は,貴女がきつとそれをふみこえて,りつぱにナースとしての道を歩まれるだろうと信じます。きつとやり通されるわね。病棟勤務やなれない寮生活にもさぞかし気を使われる事でしよう。でもがんばつて下さい。どんな時でも笑顔を忘れずに,誰にも親切に皆から可愛がられる人になつて下さい。学生時代の貴女の様に,つらい事や悲しい事があつてもいつも笑つて過せる様に。……今日の貴女の御便りを見ていると私まで涙が出てきてさみしくなりました。なぜかしら?きつと貴女に同情しての事だと思います。
これからはもとの貴女の様な元気さにあふれた御便りを待つています。
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