扉
心をうつた二つの話
pp.4
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910861
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☆誰でもどこかの骨が折れている
2,3週間前のこと,私は足の骨を折つて,何日か杖にすがつてびつこをひきひき歩かなければならなかつた。この苦痛な経験のなかでたゞ一つうれしく感じたことは,まわりの人々の私に対するいたわりだつた。みんなが私のためにドアをあけてくれ,助けて自動車にのせてくれ,エレベーターの中でも場所をあけてくれた。私はこの思いやりがうれしくて,必要以上に長く杖を持つて歩きたいとさえ思つたほどだつた。このような公衆の親切にあたためられて,私の心は生き生きと花を開いた。
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