美しいヒフをつくる医学 美容の焦点・11
Nurse's Beauty Culture—看護婦の美容
安田 利顕
pp.55-56
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910835
- 有料閲覧
- 文献概要
私たち仲間で月に一度集つて美容的な,いろいろの話をする会がある。そんなとき,職業別による美容のあり方など話題にあがつてくる。その中で,銀座の匂には3つあるといつた人がいる。朝の匂に魚の臭い,ひるの香りは,安香水のそれ,そうして夕暮と共に,高級な香りがただようといつた人がいる。こんな話は,美容のことを知りつくした人の感覚である。そこで,私は,初歩の人のオシャレは,何でわかるかということをきいてみた。すると,即座にこんなことをいつた人がいた。“ひるの間にみる,夜の銀座の美容法”であるというのである。そういつてみれば,昼間から,アイシャドウをぬつて歩いている人がいる。黒々としたアイラインをみるかと思えば,カリブソ化粧まで流行してくる。現代の若い女性のオシャレ心は,どこに中心をもとめているのだろうと疑いたくなる。たしかに,オシャレには,中心が大切である。美容では,これをオシャレのポイントといつている。
それ程,化粧品を使わないでも,口紅1つの使い方で,清潔なオシャレができるのは,このポイントをつかんでいるからである。またこういつたことを,アクセントのあるオシャレともいつている。個性的な美しさを誇張できるのはこれだけである。病院の看護婦が口紅を使うことを,罪悪視するおえら方もいるらしいが,それが却つて清らかな美しさをつくりだすことも知つておくことが必要であろう。“制服の処女”や“格子なき牢獄”にでてくるふんいきだけでは,beauty cultureにとんだ女性は生れてこない。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.