口絵 続・写真解説看護技術・1
患者の動かし方(Ⅰ)
浅田 美智子
1
,
里見 英子
2
1東京大学衛生看護学科
2整肢療護園
pp.5-12
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910822
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
看護の実践にあたつての技術は必ずしも一律一様ではありません.この患者にはこういうことに気をつけて,このようにしてあげたら最も気持よく,有効で,且つ能率的ではなかろうかというように,それぞれの患者の病気の種類,状態,機能障害の程度,機能回復への目標,体格,性質,環境等にいろいろの因子を考慮に入れ,且つ私達看護する者の体格,知識,物品等をも合せ考えて,その時,その場に適した技術が行われて,はじめて技術が技術となるものでありましよう.例えば患者の体位を交換する場合でも,内科的に重症で動かそうとする意志も,動こうとする力もない患者の場合と神経麻痺や骨折のため自分で動かそうとする意志はあつても,それが不可能であり,又害をなす場合等では動す目的は違つてきますし,その方法(看護婦の人数,必要とする物品等を含めて)も勿論それぞれ異つてまいります.
過日この技術の基礎になる基木的操作についてこの雑誌をかざつておりましたが,更にそれを一歩進めて,私達が日常最も遭遇しそうな場面や状態を想定して,その1例を考えてみました.この1例がヒントになつて皆様の毎日の看護業務がより広い,深い知識の基礎にたつた科学的で,しかも誠意ある看護が実践されるようになりましたらと思います.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.