名作の中の女性像・2
「鯉」の青木南八愛人
長谷川 泉
1
1医学書院編集部
pp.45-47
発行日 1958年1月15日
Published Date 1958/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910518
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井伏鱒二の作品のなかには,動物に寄せて心境を語つたすぐれた絶品が多い。ここにあげる「鯉」はその一つである。そのほかにも出世作となつた「山椒魚」や「屋根の上のサワン」がある。一度読んだら終生忘れることのできない名文である。これらの作品は中学や高校の国語の教科書によくとられているから,読んだ人も多いであろう。
「鯉」は大正13年に「桂月」という随筆雑誌に載り,のちに「三田文学」(昭和3.2)にも再掲された。僅に400字11枚の短篇であるが,井伏の初期の傑作の一つである。
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