講座
にきびの新しい治療法
西山 茂夫
1
1東京大学皮膚科
pp.63-66
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910505
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にきびの原因は種々多様であり,古来胃腸障害,内分泌障害,代謝障害,肝機能障害,細菌感染等がその原因として挙げられ,それに精神的因子も加つている。このうち内分泌障害が主因であることは略々明らかで,例えばにきびが思春期に発生し,ホルモン系統の完成する成人になると,治ること,去勢者にはにきびは出来ないが,男性ホルモンを投与すると生ずること等により常識的にも考えられる。従つて内分泌障害を主因とし,これに他の様々の副因が加つてにきびが発生するという考え方か妥当である。
現在にきびの治療法といつても一定したものはなく,治療効果も学者により意見は区々である。このことは第一ににきびの原因が明らかでないこと,第二に一口ににきびといつても臨牀的には色々の形があつて,各々治療に対する反応が多少異なることによると思われる。即ちにきびの個疹は初めは毛孔に一致した黒い点として生ずることが多く,この黒い点は皮膚の最上層の角質が変化したものと,外からの塵埃との混合物であり,面皰と呼ばれる。これは次第に高まつて丘疹となり,細菌感染があると中に黄色の膿が溜つて膿疱となる。更に毛嚢の深部に始まると皮下に硬いしこりが出来て(硬結)比較的大きな発疹となる。これに引き続き毛嚢口が閉鎖して皮下に袋を生じ(嚢胞),いくつか集つて大きな塊となることもある。
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