特集 原子力を理解するために
原子力利用12年の動き—解説
三田
pp.10-13
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910473
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☆私達と原子力
今年の8月27日午前5時23分,日本ではじめて原子の火がともりました。茨城県東海村の日本原子力研究所に設置した第1号実験用原子炉(湯わかし型)が動き出したのです。われわれにとつて原子力は悲惨な過去から出発しておりますが,いまや平和な社会をつくり出すものに生れ変つています。昭和20年8月,広島,長崎に落ちた原子爆弾は,人類に最大の不幸をもたらしたものとのろいましたが,その恐ろしい力を電気にかえ動力に使うようになつたのです。また原子力から必らず生ずる放射能を,医学や農業,工業部門に利用し,人間生活をゆたかにするようにさえなつてきたのです。しかしその使い方を一歩誤まれば,再びあの悲惨な世界をつくり出します。戦後12年間,平和の原子の火がともるまでを,ふりかえつてみましよう。
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