扉
信じあう働き人
pp.5
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910401
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先達たずねた或る保健所で,こんな話をきいて,深く考えさせられたことであつた。その保健所は,婦長共10人の保健婦の活動が中心になつているところでありましたが,保健婦は,婦長をのこして他の9名は全部,地区の町村に駐在して勤務をするいわゆる地区駐在制を行つている新しい型の保健婦活動でありました。9人の地区の保健婦及びその他の町村にいる保健婦の年間の計画をはじめ,月間,更に週間の仕事の日程はきちんときめられていて,それがすべて保健所の保健婦長のもとにまとめられているので,婦長は,保健所で執務をしながら「A保健婦は今日は家庭訪問をしている。」又「B保健婦は今日は乳児の健康相談を地区でやつている」又「C保健婦は1日役場の保健婦室にいて,あらゆる相談をうける日になつている」等々,1目でそれぞれの動きがわかるようになつている。ある冬の日,その日は朝から雨風も強く,何かあらしになりそうな天候の日であつたという。保健所では急に地区の誰か保健婦に連らくをしなくてはならないことがおこつたので,婦長の日程をみると,相にく全部が家庭訪問の日である。困つたなと思つたが,こんなひどいあれた日だからひよつとしたら誰か1人位は役場にいるかも知れないと思つて電話をかけてみた。ところがどこの保健婦もみんな日程通り訪問に出かけていて不在であつたという。
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