講座
春に多い眼の病気
長谷川 俊明
1
1あそか病院
pp.60-65
発行日 1957年5月15日
Published Date 1957/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910360
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春は眼を病む人が多い。毎年きまつたようにこの季節から夏にかけては,どこの眼科の診療室も混雑する。これは世間一般も知つていることであり,また眼の病気の季節的関連性を調査した統計的の研究もおよそ之れが事実であることを裏付けている。多くの病院・診療所の求診患者月別統計をみると,年齢・地域的関係・環境・社会的その他の特殊事情で多少の違いはあるが,之れらの殆んどが一致して3〜7月に最高の罹患率を示している。もつとも春色に遅速があり,年によつて寒暖の開きも大きく,明確にどこからどこ迄を季節からの影響と定め難いのであるが,我々の軀が四季の自然に影響され,毎年およそ同じような罹病者増加の形を周期的に繰り返すことのあるのは否めないことである。
○それでは,どういう種類の眼の病気が多くて,このように春の季節の罹病者率を高めさせているのかと云うと,これは主として結膜・角膜病の増加によるものであることが指摘される。実際,我々の春の診療室では,最も頻繁に結膜の急性炎症が治療の対象になつている。殊に細菌・ヴィールスに因る眼疾が目立つて多く,春は眼の流行性の病気がことに多いものであることを物語つている。
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