時の動き
二年目の豊作
奥山 益朗
1
1朝日新聞社
pp.70-71
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910242
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「寝巻豊作」という言葉があります。日本の農業はちようど寝巻を着ているようなものだ。ちよつと寒ければカゼを引いてしまうというのです。幸い今年は7月下旬からカツと照りつけて,稲作にはこの上ないお天気だったのでカゼを引かないですみましたけれど。
8月15日現在農林省調査の作柄概況では,ことしは水陸稲合せて7360万石の豊作の見込みです。去年が7900万石で,これは断然群を抜いて記録を作りましたが,これまで第2位だった昭和8年の7100万石を抜いてことしが第2位となりそうです。もつとも8月15日以後九州方面を荒した台風9号,8月下旬から9月上旬にかけての東北,関東方面の冷温9月9日の台風12号などがあり,また今後いつ台風に見舞われるかもわかりませんから油断はなりませんが,まず7000万石突破は確実といつてもいいでしよう。まずはおめでたい話で,農家ではもう予約前渡金を受取つて2年目の豊作を祝つていることでしよう。
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