講座
新しい医学用語
福島 三保子
1
1九州大学医学部附属病院
pp.57-67
発行日 1956年10月15日
Published Date 1956/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910197
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さきに玉重博士は本誌1)において「新解剖学用語」について述べたが,それは統一された新しい医学用語の普及を目的としたためであつた。
わが国の医学用語は,在来の言葉に外国語が加わつたものに外ならない。日本の文化は古くから中国文化の影響を受け,言葉を表わすために漢字が採用されていたが,その後西洋医学がとり入れられるようになつて医学は非常な進歩を来し,そのために医学用語の訳がどしどし行われた。当時は漢学の素養の深い学者が多かつたため,非常な苦心の結果,漢字による意訳,音訳等適切な訳語が用いられ,中には新語まで作られた。当時の先覚者達の苦心の有様は「蘭学事始」を読んだ人ならばその一端を容易に知ることが出来よう。
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