扉
空から下界をみる
pp.5
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910156
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鎮守の社の階段の下から,氏子の村の様子を眺める時と,階段を中ば登つてみる時と,さて頂上までのぼりきつてながめる時と,その段階に於いて,視界に入つてくるものの違いその範囲のちがいを如実に体験することは誰でも経験のあることと思う。
芝居や映画館の切符売場も,あの小さな窓から,手先きと,声だけでうけわたしが行われているが,よくきこえないと,つい,あの窓から顔をのぞきこんでものがいいたくなつてしまうが,きめられたものを,きめられた範囲でする場合には,あれでもよいのかもしれないが,自分でものをみて,それを判断したり,きめたりしなくてはならないとき,ものを考えてする種類の仕事をするときは,とても「よしのずいから天井をのぞいた」のでは結果が決して思わしくはならない。
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