想園
見習い看護婦のあり方
和田 雪子
1
1東京警察病院高等看護学院
pp.66-67
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912336
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高等看護学院へ入学した翌年,いちおう新しい環境にもなれ,勉強も一段落したところで,“ボザッ”と過ごしてしまえば,終わってしまう余暇が,もったいなく,同級生も,みんな,それぞれ有効に利用していることでもあるので,当学院で許されているアルバイトを,あらためて許可を得て,始めることにした。ちょうど春も終わりのある日,授業を終えてから,かねて友人に頼んでおき,連絡のついている,診療所を訪ねた。診療所,つまり,個人の医院である。毎週,木曜日と土曜日の,週2回を,1時間120円で,1日3時問という約束をし,夕方5時半から,8時半まで,准看護婦の免許のもとに働いた。
まず,ここで驚いたことは,看護婦見習いの人たちが,白衣を着て,しかも,注射でも,なんでもしていることである。驚いた,といったら語弊があるかもしれない。むしろ,ここでも,こういうことが,といういやな気持,そんな感じを味わった。という方が,当たっているでしょう。なぜなら,前にも,いや以前,私がいた病院でも,行なわれていたことだからである。無反省であった今までが,恐ろしいと思うとともにあの頃は,自分一人という,力のなんと弱いことよ,という嘆きとともに,いつも心の底に沈めてしまっていた小さな自分であった。
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