統計の頁
赤痢
福島 一郞
1
1厚生省統計調査部
pp.106-108
発行日 1950年8月15日
Published Date 1950/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200708
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
今夏は赤痢の脅威が大きくとり上げられている。四月半ばには國立新潟療養所の一炊事員の不注意から同所の患者,職員に133名の罹患者を出し,五月半ばには東京都荒川區の一柏餅製造屋の幼兒の下痢を見過したためにその柏餅を食べた者から215名の患者と5名の死者を出した。六月には伊東温泉に集團發生した患者が既に103名に達しているとのことだ(6月13日現在)。終戰後腸チフスやジフテリアと並んで赤痢も異常な減少をみ,殊に昭和23年には年間届出患者數14,665,死亡數5,157で昭和15年頃に較べると患者にして約1/6,死者は約1/4にへり,スルフアミン劑の普及その他公衆衞生諸施策の改善に負うものとしてやや意を強うしていた矢先,早くも昨年の夏から又々増助し始め,昨年中の患者は約2萬4千(一昨年の約2倍,死亡者約7千8百(一昨年の約1.5倍)となつたが,本年に入り益々増助傾向が強まり5月27日現在迄21週間の累計届出患者數は3,674名(昨年の約3倍),死亡數は672名(昨年の約2倍)に上つており,この分で行けば戰時中の高い罹患者,死亡率に逆行の懸念が濃い。この憂うべき状況下にある赤痢對策の重點を求める意味で統計的觀察を通じてみられる赤痢流行の姿を若干紹介しておく。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.