時の動き
オネスト・ジョン
K
pp.166-167
発行日 1955年10月15日
Published Date 1955/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909953
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“オネスト・ジョン”という言葉をよく耳にするようになりました。これは原子ロケット砲のことで,問題はアメリカ軍が,この原子ロケット砲を日本へ持ちこんだのです。私たちは先のジュネーヴの四カ国巨頭会談以来,世界の冷い戦争は遠のいたように思つていますが,このような時期に,アメリカ軍が突然,極東地区では,はじめての原子ロケット砲を,よりによつて,原爆でいためつけられている日本へ持ちこんで来たのです。まったく私たちにとつて,原子ロケット砲を日本へ持ち込んだことは寝耳に水のことでした。このため7月30日に終つた先の国会も,最終日にこの問題で大混乱となり,多くの重要法案が,流れてしまつたことは,皆さんも御存知の通りです。
このオネスト・ジョン—原子ロケット砲は一口にいいますと,小型の原子爆弾を発射するロケット装置をもつた大砲のことで,一昨年の末にアメリカで実験を終つて,はじめて明るみに出たものです。ネオスト・ジョンの破壊力はどのくらいかといいますと,一発で広島の原爆の1/4ぐらいのちからをもち,およそ30キロぐらいまでとどくということです。その上,原子爆弾や原子砲とちがつて,発射装置や部分品一式が,輸送機で簡単に,はこべるくらい機動力に富んでおります。
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