——
糖尿病食餌
西村 きみ
1
1荻窪病院
pp.52-53
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909835
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病は,糖質の新陳代謝の中枢である膵臓のランゲルハンス氏島が,器質的に,又は機能的に変化して,その内分泌であるインシユリンが減少する為に,血液中の葡萄糖を糖原として肝臓内に貯臓する作用が低下して起る病気でありますので,血糖量は増加し,又尿中には葡萄糖を排泄して,いわゆる糖尿を来します。それでこの病気の食餌方針としては,膵臓を保護し,休養させ,その機能が自然に回復する様に,
專ら糖質を制限いたします。この制限量は,その症状の軽重によつて異りますが,糖質150〜200〜250〜300瓦に制限して,糖尿の消失や,血糖の低下等を観察いたしますが,1日量150瓦以下に制限する事は,脂肪の燃焼を不完全にして,アセトン体の発生によるアシドーシス(酸血症)を招き易いので,糖質の制限量は150瓦に止めて,それでも尚糖尿のある場合は,インシユリンの注射を行つて,糖質の代謝を補います。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.