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看護婦に対する批判
萬崎 安子
1
1千葉県立東金病院
pp.22-28
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909748
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1.はじめに
昔は婦人が職業につく事を賤しみ,従つて看護婦も経済的に恵まれない人々が,生活の糧を得る為の一つの賤しい職業にしか見られない様な間違つた観念の下に長く卑下されてきました。しかし,この二次大戦を機として婦人の社会的進出に相まつて,看護婦も又崇高な人類愛と献身的奉仕による專門職業として一般に認められてきました。此の著しい社会状勢の飛躍的発展を喜びながらも,反面にはそれが,形式だけに終り真意と実行が伴わない一般社会人からも正しい批判と認識と理解が得られないものであるとしたら專門職業としての看護婦をいくら唱道しても,それは新しい看護婦達の独善的な空論に終り遂には再び逆コースをたどることにもなりましよう。私は新しい制度の看護婦教育をうけた一人であります。希望にもえて学窓を巣立つてから4年,何もかも学校で教つた理論と実際の体験とには余りにもくいちがいや障害が多く何と苦難の道を歩まねばならなかつたか。今さらながらに,驚いております。未だ経験も浅く年令的にも世の中には全く未熟な私が,現在地方の一小病院の婦長として就任して丁度1年余になります。静かに看護婦であり婦長だつた此の1年余を回顧しながら,特に今後の新しい学窓を巣立つ人々に看護婦という職業を自覚し良く勉強し努力して名実共に世の人から尊ばれる職業とする為に二度とこないこの良き時代を機会に嶮しい道を開拓して戴きたいとひたすら念願して止みません。
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