特集 保健婦の技術と専門性
「川上武—私の保健婦論」を批判する
石垣 純二
pp.16-19
発行日 1968年10月10日
Published Date 1968/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204284
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そこはかとなき違和感
わたしはいま「豚汁付帆立貝ごはん,あきあじの浜焼,いかの塩辛,プリンとリンゴ」というデラックスな食事をしてきたところである。この献立には註釈がいりそうだ。あきあじとは脂ののった鮭である。この他にもイカの北方焼と帆立貝柱のフライを食べたかったが,いくら無責任な旅先でもそれでは太るおそれがあるのでオードリー・ヘップバーン並の意志力をふるいたたせて註文をとり止めたのである。
そう,私は『特急おおとり』にのり噴火湾沿いに原野と原生林の間を釧路に向って疾走中なのである。訪客もない電話もかからない。この11時間はコンラッドが船旅をたとえたように人生の空白である。そこでうきうきしながら本誌5月号の「私の保健婦論」を読んでいるわけだ。
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