講座
人工低血圧下手術
羽田野 茂
1
1東京大学
pp.24-26
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909708
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手術中の出血を出来うる限り少くしようとする試みは比較的古くから行われており,エスマルヒ驅血帯の使用とか,局所麻酔剤の中へのアドレナリンの混用などもその現われであります。最近に至つて低血圧を利用してこの目的を達しようとする方法が実施せられるようになりましたが,これには大体次の様な3つの方法があります。
1.脱血によるもの
2.高位脊椎麻酔によるもの
3.藥剤によるもの
この中第1のものは1946年にGardnerという入が始めて行つた方法で,手術中大量の潟血しにより血圧を下げるもので第2の方法は脊椎麻酔を行う場合,脊椎の高い位置で麻酔を行う程血圧の下がる程度が著しいのを利用したもので,1948年にGilliesがこれを始めて試みておりますが,最近ドイッではこの方法と自律神経遮断法とを併用して行つているものもあります。但しこの2つの方法は生体に種々な不利な作用を及ぼすとされ,又調節性に欠けるところに欠点があります。
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