2頁のちしき
最近の美形外科
內田 準一
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1丸ビル内田整形外科医院
pp.46-47
発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909692
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総論
外科的方面の分野には,外科,眠科,耳鼻科,皮膚科そのほか多くの科がありますが,これらの主な治療目的は,病気によつて破壊された機能の回復にあります。ところが又これらの中には,それぞれ外形を整えるという治療の部分が少しずつ含まれております。例えば外科では顔の引きつれの治療,眼科では二重瞼や斜視の治療,耳鼻科では,隆鼻術や造鼻術,整形外科では,兎唇の治療等,いずれも形の改善が主な治療目的であります。これら形の改善を主とする治療は,大体それぞれの科の医師によつて,他の病気の治療の片手間に行われているのでありますが,一般にこのような美容的手術には,熟練と共通した審美的な感覚が必要でありますので,この外形の改善を専門とする医師がしだいに増して来た結果,今日では総括して美容外科と呼ばれております。しかし必ずしも普通の意味での美容術のみを追うのでなく,病的な外形の改善が主な仕事でありますから,私は美形外科と呼ぶ方が,適当ではないかと思つております。
美形外科の目的が,外形の改善である以上は,その対象は必ずしも,病的なものに限らず,正常ながら醜い容貌に向けられることは勿論であります。そのため明眸を目的とする重瞼術や,気品的な効果をもつ隆鼻術が盛となつたのも,当然でありますが,この二つが美形外科の唯一の目的の如く考えられているのは甚だ残念であります。以下最近の美形外科の輪郭を,ごく簡単にのべてみましよう。
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