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扉 それでもしなければならぬ
pp.5
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909517
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あなたがたはこんなばかなことを考えたことがありますか。他人も自分と同じように考えたり見えたり聞えたりしているのでしようかつて。あの人の体を一寸貸して貰いたいものだ,もし私があの人の体に入つたとしたら一体どんな風に見えるでしよう。赤いものは私が赤く感じているような赤さに見えるでしようか。
又こんなことも考えて見たことはありませんか。人間て何ておかしな動物でしよう。全身が殆んどツルリッとして毛がなくて,頭や眉や変なところにだけ毛がチョビ,チョビとついているだけで,そして,殆んど一本棒のように長い体が縦に立つて歩いているなんて,一寸考えただけで滑稽でしよう。
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