講座
歯槽膿漏の話
山下 浩
1
1東京医歯大
pp.18-21
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909401
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人の身体はなかなか都合良くできているもので,なにか病気に罹つたり,治療を必要とする現象があつたりすると,多くの場合,警報的な予報があるものである。この予報をすばやく感知する人は,自愛の精神に富む健康人であり,その予報的現象を早期に発見することが早期診断であり,発見する人は名医であり名看護人である。ところで歯科的二大疾患として齲蝕と歯糟膿漏があることはごぞんじの通りであるが,齲蝕の場合には初期症朕として「しみる」「痛い」「噛みにくい」という症状が治療を要する予報となつてくる。齲蝕による疼痛はそれが一種独特な精神不安を伴う痛みで,それに食事不振という二次的症状を伴うため,歯痛即受診と直結するから比較的問題は少い。
それでは歯槽膿漏はどうかという前に,本症に関しては齲蝕程一般に理解されていないので,少しくその解説を加えて読者のご参考に供したいと思う。
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