歯~とぴあ―臨床医のための歯の話・3
歯槽膿漏
鈴木 俊夫
1
Toshio Suzuki
1
1鈴木歯科医院
pp.642
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900520
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ほとんどの先生方は,すでに歯ぐきが歯槽膿漏症(歯周炎・歯周病)に罹患してみえるのではないかと思います.歯がなくなる原因は,むし歯と歯槽膿漏がほぼ半数ずつを占め,40代から急速に歯槽膿漏で歯が抜け落ちていきます.患者さんを診察される際に咽頭や扁桃腺を診られるとともに,口腔内,中でも歯牙や歯肉の状態をよく観察してみてください.症状が進んでいると図1のような状態になっています.腫れていたり,指で軽く押すと出血したり,排膿するのではないかと思います.また,口臭が強くなったり,唾液が糸を引くように粘ついてきたりすることがあります.
歯槽膿漏の前段階の症状は歯肉炎と言われるもので,名古屋市学校歯科医会の調査では児童生徒の30~50%が罹患しているとされています.この歯肉炎は20代後半から歯槽膿漏に移っていきます.この対策として文部省は,今回の新指導要領(小学校の歯の手引き)の中で,う歯(むし歯)から歯肉炎対策へと方向を転換し,その予防や健康教育に重点を移しています.すでに一部の小中学校ではむし歯の検査とともに歯肉炎の検査を行い,保健指導や健康管理を行っていますので,患者さんの指導をよろしくお願い致します.
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