講座
日本脳炎
内山 圭吾
1
1駒込病院
pp.6-9
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909398
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日本脳炎は古くから日本にある病気で,夏期脳炎,B型脳炎と呼ばれ,又俗間でいねむり病,嗜眠性脳炎等ともいわれていたものであるが,昭和21年法定伝染病に指定され日本脳炎と呼称されることになつたものである。
本病は夏の暑い時期に流行するのが常で,最近数年間の東京都の流行状況をみると初発患者は大てい7月に発生しているが,流行の最盛期のくるのは年によつて異り,昭和23年には8月の上旬,同24年には9月の中旬,25年には8月中旬,26年は24年に類似して9月中旬に山が来,27年には8月下旬に山が来ている。すなわち主流行期が8月にある年と9月にある年とがあり,昭和23,25,27の3年はいずれも8月に山があつて患者の発生数が多く,24,26の両年は9月に山があつて患者数が少なかつた。すなわち東京では1年おきに大流行と小流行とが交互に現われている。そして又本病は従来流行発生前にある一定の期間にわたつて,炎天の暑い日がつゞき,一たん流行が始り患者が続発するようになれば,気候の如何にかかわりなく発生がつづくといわれているが,最近の流行状況を見ると東京では,これと稍々趣を異にし,すなわち気温の高い日がつゞくことは一致しているが流行の直前に相当の大雨があることがあるようである。このようにして患者の発生状況は山型を呈し,一たん発生が減りだすと再び増すことが無く減少をつゞけ9月下旬から10月までで流行は終るのである。
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