発行日 1953年3月15日
Published Date 1953/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907257
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尿中に蛋白反應が證明される場合には,之を蛋白尿と言つて,腎臓炎の場合の1つの主要な徴候とされて居るのは,よく御承知の事でありますが,元來健康體の正常尿の中にも,普通の臨床検査では證明出來ない位徴量の蛋白質(24時間に0.075gr程度)は含まれて居るのであります。又腎臓に特に病變がない場合でも,例えば卵白を多量に食べた時とか,肉體的な過労,非常な精神感動,多食,冷水浴等の後とか,觸診の時腎臓に壓迫を加えた後とかに,一過性に蛋白尿を起すことがあり,又所謂起立性蛋白尿,或は週期性蛋白尿,或は若年性蛋白尿等と呼ばれるもので,直立又は坐位をとつた後に蛋白尿を來たし,横臥した後には蛋白尿がなくなるものもあります。それで之等の場合の蛋白尿を生理的蛋白尿と呼び,腎臓に病變があつて起る蛋白尿を病的蛋白尿と呼んでいます。又アメリカでの調査によりますと,健康であると見做される學生群の約5%に極く輕度の蛋白尿を認めたと言うことであり,生理的蛋白尿と言うものは相當に多いものと思われます。
では病的蛋白尿を來たすのはどんな場合であるかと言ふことですが,その前に尿に蛋白が出て來る經路や原因に就て少し述べて見ましよう。
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