発行日 1953年1月15日
Published Date 1953/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907234
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(2)涼しい着方
氣温が30℃を超える真夏には,體熱の放散が緩慢となつて,肌と衣服との間の謂ゆる衣服氣温が34℃をこえるようになると,私共はひどく暑苦しさを感じて,涼しい衣服を要求するようになる。しかし衣服だけでは,到底暑さの調節ができないので自然發汗し,その氣化熱を利用して體熱を奪うことになるが,その汗のため衣服の間の濕度が,理想的な快感温度の40〜50%を遙かに超えて,70,80%と上昇して,一層蒸し暑さを感ずることになる。そこで涼しい衣服は又,汗を吸收して肌を清潔に乾燥状態に保ち,それと共に濕氣を放散する機能を,もつものでなくてはならない。
(a)涼しい衣服材料 涼しい材料は體熱を奪う熱傳導度のよいものであるから,前に述べた保温性のものと,正反對のものである。麻を第一として人絹,スフ,木綿,合成繊維,絹,毛という順になるわけである。又その織り方組織が緻密なもの程,即ち平織りのようなものが,そして肌に密接するものが直接體熱を奪う。しかしそれと共に涼しさは材料の,通氣性に大いに關係がある。
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