発行日 1952年7月15日
Published Date 1952/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907096
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新しい法が制定實踐されて幾年かゞ過ぎた。私も時代の歩みに參加し地區の指導者教育の專任教師の教育を受る機會を惠まれ希望を新たにし仕事への意慾に燃えながら誰でもが必ず感ずる私達に共通の目的達成の決意をもつて後に續く人達にも次々と教育の機會を興え僅かづゝではあるが現状を考慮しつゝ看護業務の面をその線に添わせて來た。然しその過程で改善し難い點や環境の不備やその他困難な問題に當面し焦燥と苦慮に悩まされ精神的に意慾をスポイルしてしまう。
經驗を同じくする人に話してみるとやはり,「周圍の理解が乏しい」とか「理想と現實の相違」』「看護婦の自覺が足らない」等と大概の人は云う。院内教育を何度か試みて成功し或は失敗している間に人員が少しづゝ去り又増えて變つて行き何となく,木の瓦を思わせられている。理想への道はほど遠いと思つた丈で疲勞を覺える。然し又休息し元氣を取り戻して行かねはと自分に云いきかせていろいろと道をかえて目的を達する樣に心掛けている。毎月行つている月例研究會のある日リーダー役の看護婦さんが,自分の發表について話していた事であるが必要に迫られて仕方なく,久しぶりにした勉強によつて新しく仕事への興味を持つことが出來たとよろこびにみちた顏で洩らしているのをきいて,私はひそかに心からうれしく思つた。
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