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適正醫療とは
千種 峯藏
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1厚生省關東信越醫務出張所
pp.4-5
発行日 1952年1月1日
Published Date 1952/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200420
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- 文献概要
適正醫療という言葉は,まことに通りのいい,尤もな響きをもつ言葉である。適正醫療を金看板としている健康保險の説明によると「診療に當つては患者の健康の保持増進上最も妥當適切であることを要し,一般に醫師として治療の必要があると認められる傷病に對し之を行わなければならない」又「保險診療は一般醫學通念によつて必要にして充分であると認められる診療である」と,いうことである。そして,健康保險が適正醫療の實施を圖る爲に,保險診療擔當規程,結核治療指針を定め,之を標準として,指導,審査,監査を行い,所謂適正度の保持に努めているのである。從つて,一應診療體系が整つている樣に見えるのであるが,審査,監査等の結果を通して見ると,色色と問題を孕んでいる樣に思われる。保險診療を標傍して出來た健康保險直營の病院でも,中には取消一歩手前の嚴重な戒告を受ける事實があるところを見ると,適正診療の保持ということは,仲仲難事であるらしい。
問題の焦點は診療についての見解の相違にあるらしい。就中,對症療法が問題となる。ところがこのことは簡單な樣に見えて,實は根ざしが深いのである。我が國の醫療は開業醫に依存することが大きく開,業醫は充分な検査や治療設備をもたないのが普通であるから,勢い注射療法が主體となる傾きを持つのである。從つて,適正醫療ということは,診療標準に基く審査や監査等による,所謂運用の調整だけにたよつて期待出來るものであろうか。
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