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骨折と捻挫
堤 直溫
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1國立東京第一病院整形外科
pp.16-21
発行日 1950年12月15日
Published Date 1950/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906761
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いよいよ冬の季節になりました。銀雪を縦横に縫つて走る壮快なスキーや,美しいフィギュアを心ゆくまで樂しむスケートの時期も近ずいて來ました。スキーやスケートは冬の代表的なスポーツとして萬人にすすめることが出來るもので,充分な指導の下に行えば決して危險なものでありませんが,しかし,ともすると骨折や捻挫を起すことがあります。今日は一般の骨折や捻挫の手當と看護について氣のついたことを2,3お話いたしましよう。
骨折は怪我で起ることは誰でも知つていることですが,大いした外力でもなく,ほんの一寸したことでも骨折が起ることがあります。殊に老人では疊の上で一寸轉んだだけで大腿頸部骨折を起すことがあります。又自動車に乘つていて僅かなバウンドのために脊椎骨折を起すことがあります。子供も一寸したことで骨折を起します。子供の骨折は關節のすぐ近くの部分が折れます。髁上骨折といゝます。子供では關節の靱帶などがしつかりしているので脱臼することは殆んどありません。そのような外力が加わると脱臼を起さないで骨折を起します。しかし例外はあります。子供が倒れようとする時に,手をもつて引き上げたり,倒れている子供の手をもつて起したりする時に急に痛がつて肘を動かさなくなることがあります。これは肘關節内障といつて,橈骨輪状靱帶の橈骨小頭からの逸脱であるといわれています。
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