名詩鑑賞
—三好 達治—甃(いし)のうへ
長谷川 泉
pp.44-45
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906546
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詩人三好達治の名を有名にした「楚のうへ」は,同じように有名な「乳母車」の詩などと共に處女詩集「測量船」(昭和6年)を飾つたものである。
この詩を作つた頃の三好達治はニヒリズムの中に轉々としていた。東京の春の外光がきたないと言つて,幾日も雨戸を閉して燈火の下に端坐しでていたといわれる。そうした彼の幻想に浮び出るものは,青春期の感じ易い感覺の中にほのぼのとよみがえつてくる古典的な京都の雰圍氣であつた。(三好達治は三高の出身である)
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