看護學講座
外科看護法
湯本 きみ子
pp.44-47
発行日 1948年7月15日
Published Date 1948/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906354
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手術後合併症(消化器系)
鼓腸
單純な鼓腸は手術後には時に起るもので,常でも腸の運動が弱い老人には特に多い。又腹腔内臓器に相當の外傷が加わることの避け難い大手術の後に鼓腸が起り易い。鼓腸ある患者は腹部が膨滿して居るが體温の上昇脈搏の増加し,仙痛型の烈しい痛みはない。
此の時に肛門より排氣管を入れ,又2倍にうすめたグリセリン,120ccを注腸すると大低は輕快する。特に禁忌でなければ500cc程の微温湯で浣腸しても良い。腹部をメンター温湯布で温めても,患者の氣持を良くさせることが出來る。若し此の樣な消極的な方法が失敗であつたなら,ピチウトリン,プロスチグミン等を皮下注射して腸蠕動を促す。時としては濃厚食鹽水の靜注も行はれる。
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