看護學講座
病理學
畑 秀雄
pp.41-45
発行日 1948年2月15日
Published Date 1948/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906288
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Allergenは相違しても發現するアレルギー性症候は或る一定のものであることが多い。組織學的にも急性漿液性炎より慢性結節性炎に至る種々の炎性變化を呈する。組織アレルギー性變化は各組織,臓器に來るのであるが就中血管系統及び結締織に發現する變化が著明であるとされてゐる。血管系統では急激な循環障碍,充血,毛細管の繊維素析出(fibrin-thrombosis),血行靜止,漿液性滲出物の増加,水腫。動脈壁の浮腫性膨化,類纖維素性壞死,結節性動脈周圍炎に類似した像を呈し,早期に退行性變化を來たし,壞死に至る。結締織では結締織纖維の膨化,水腫等。内臓殊に實質臓器では血管の變化及び間質の肉芽性炎を来たす。臓器としては脳,脳膜,肺,胸膜,心臓,心嚢,肝,脾,消食器,腎,生殖器,鼻,眼,關節,淋巴腺,皮下組織等にも現はれる。漿液膜系統では一般に滲出現象が強い。其他血液内及び局所滲出物に於けるェオヂン嗜好白血球の増加が認あられる場合もある。動物實驗的に馬杉教授の抗腎血清に因る腎炎の研究は所謂馬杉腎炎として内外に有名である。近時アレルギー殊に局所過敏症を以て種々の傳染性疾患の組織像を解説されやうとする傾向があり,結核症も結核菌に因る炎症であるが,其病變の大部分はアレルギー性炎に屬すと稱せられる。
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