アメリカに於ける初期の看護婦養成學校

　看護婦養成の爲めの最初の正規の學校は1798年ニユーヨーにヴアレクンタイ・シーマン博士により創立せられたといわれております。そこの生徒は約24名程で，彼等に解剖學，生理學，小児保育法，産婆學等の講義をし，看護婦にはすべて講義と實地指導により規則正しく授業を行つておりました。

　アメリカに於て最も早くから看護婦養成學校を持つた病院として知られているのはマサチユセッツ州ボストンの婦人のためのニユーイングランド病院であります。この事業はマリー・ザクルヂユスカ博士が1859年産科學の主任になると直ちに始められ，その組織は全部婦人の醫師により構成せられておりました。彼女は看護婦養成學校が設立された最初の2年間に6名の看護婦を養成したと述べておりますが，彼女達には免状というものは與へられなかつたのでした。この病院が看護婦養成學校の認可を得た最初でありまして，このことは1863年の病院認可書の中に載せられてあります。現在の養成學校が始まつたのは1872年サザン・ディモツク博士の擔當でこの病院が新建築に移轉したときからであります。ディモック博士はスイスで彼女の醫學教育を終了し，カイゼルスワースとなりその教育方法を獲得したのでありました。この學校の成功は，ザルクヂユスカ博士が病室の患者看護法について教へるところがあつたとはいへ，やはり主としてディモック博士に負ふところ大であつたのであります。