連載 臨床実践
今日からのリスクマネジメント実践講座(トピックス編)・10
—アメリカ訪問記(2)—さまざまなリスクマネジメントの取り組み
鮎澤 純子
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1東京海上メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
pp.963-968
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905951
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アメリカの取り組みにもいろいろなかたちがあります
前号に続きアメリカのリスクマネジメントの現場からの紹介です.今号と次号でその組織のあり方,そして事故報告書について紹介しようと思います.が,それらを通して伝えたいことは,“これが目指すべき組織のあり方だ!”“これが理想的な事故報告書だ!”ということではありません.“アメリカの取り組みにもいろいろなかたちがある”ということなのです.
アメリカにおいては,すでに20年あまりの実践の歴史があるわけですから,もちろんリスクマネジメントの取り組みに関する基本的な考え方はほぼ出来上がっています.しかし,その具体的な取り組みのかたちは本当にさまざまです.事故報告書1つとってみても,組織の数だけ…いえ,事故全般に関する報告,加えて転倒・薬剤・感染・針刺しなど,事故別に詳細なデータを集めるための報告がありますから,組織の数×報告プロジェクトの数だけある,といっても過言ではありません.決して,“どこかの推薦統一書式で整然と”というわけではないのです.組織の取り組みの歴史,規模,専門性,組織,職員構成などによって,それぞれのリスクマネジメントがあり,その取り組みは違って当然です.だから,私たちの取り組みにもいろいろなかたちがあって,当然なのです.
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