連載 臨床実践
Medical Current of
高血圧—新WHO/ISH基準/24時間血圧,白衣性高血圧現象など/インスリン抵抗性症候群
斎藤 重幸
1
,
林 義人
1
,
島本 和明
1
1札幌医科大学医学部第二内科
pp.566-571
発行日 1999年6月1日
Published Date 1999/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905861
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
高血圧はすべての外来・病棟業務において最も接することが多い疾患の1つである.1996(平成8)年度の厚生省調査では,日本人において収縮期血圧140mmHg以上あるいは拡張期血圧90mmHg以上の血圧高値の者の頻度は男性で45.0%女性で36.6%であり,高血圧により診療を受けている者(受療者)は人口10万人あたり550人で受病率の第1位となっている.本症はサイレントキラーと称され,高血圧症の特有といえる症状はなく,無症状に経過する者も多い.しかしながら,高血圧は脳梗塞,脳出血,心筋梗塞,狭心症,心不全,腎不全などの発症危険因子,病状悪化の増悪因子である.そして,これらの疾患はひとたび発症するとしばしば致命的であり,発症後は機能予後(ADL)や生活の質(QOL)を著しく劣悪化させる.本稿では高血圧のうち95%以上の頻度を占める本態性高血圧症について診断,治療,病態についての最近の話題を中心に概説する.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.