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白衣高血圧症
島田 和幸
1
1高知医科大学老年病学教室
pp.960
発行日 1988年10月1日
Published Date 1988/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922100
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白衣高血圧症という言葉は,普段は正常なのに医者が測定する時だけ高血圧となる,いわば“見かけの高血圧症”のことをいう.既に1940年代に,病院や医院で測定した血圧は普段よりも高くなることは知られていたが,最近,患者が自分で測定できる家庭血圧計や長時間携帯して計れる自動血圧計が普及したために,このような現象が詳しく調べられるようになった.アメリカの研究者は,これをwhite coat hypertensionと名付けた.
われわれは,カフを用いた携帯型自動血圧計を高血圧外来に受診した患者に装着して5分間毎に測定し,彼らの血圧が診察室前後でどのように推移するかを観察した.104人中95人は診察時の血圧の方が待合室の時よりも高く,最高で収縮期血圧が64mmHgも上昇した人がいた.平均では収縮期で17,拡張期で7mmHgの上昇であった.この時,心拍数も上昇したが,血圧の上昇度とは必ずしも関連しなかった.なお,診察室で上昇した血圧は診察室を出てから約40分後に元のレベルに戻った.
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