フロントライン'99 研究
EBN(Evidence-Based Nursing)とは?—看護を科学として実践するための方法
阿部 俊子
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.252-255
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905793
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臨床経験だけでは科学的根拠に基づいたケアにはならない
「看護はサイエンスとアートである」が,看護ケアのサイエンス部分を学問・研究で科学的に裏づけ,臨床で実践していくことは重要である.たとえば,マッサージが褥瘡治療に効果があるとして,褥瘡患者の創部周辺を一所懸命マッサージしていた時代があった.これは褥瘡の病態生理から,予測・推測されたケア方法であった.ところが,実際に臨床研究をしてみると,マッサージは患部の虚血をひきおこすということがわかった.病態生理で予測されていた看護ケアが,研究によってくつがえされたのである.この事象でわかるように,看護や医療ケアで行なわれている実践が,実は「常識のウソ」ということにもなりうるということだ.
看護職がエキスパートになるには,臨床経験やそれに基づいた臨床的直感は必要不可欠である.しかしながら,それだけでは科学的な根拠に基づいた看護ケアを行なっているという保証にはならないということにもなる.
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