特集 変わる糖尿病患者教育—効果的な心理的アプローチ
患者とともに考える糖尿病ケア—糖尿病教育に患者心理の視点を取り入れる
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌・糖尿病センター
pp.325-328
発行日 1999年4月1日
Published Date 1999/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905809
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糖尿病治療には患者教育か必須である
糖尿病はインスリンというホルモンの量が不足したりはたらきが悪くなって,血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる病気である.血糖を高いままで放置すると慢性合併症が起こる.代表的なものは,網膜症,腎症,神経障害である.また,脳血管障害,虚血性心疾患,閉塞性動脈硬化症なども起こりやすくなる.慢性合併症がいつ起こるかは,どのくらいの期間,血糖値がどういう状態でコントロールされていたかで決まる.合併症の発症を予防するためには,できるだけ正常人に近い血糖コントロール状態を保ち続ける必要がある.
そのために,いくつかの治療法がある(表1).糖尿病のタイプや病態によって,これらの方法を組み合わせて治療を行なう.糖尿病治療の大きい特徴は,これらの治療を患者自身が行なっていくこと(セルフケア行動)である.これを「糖尿病の自己管理」とよぶが,それは患者にたいへんな努力を要求する.
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