フロントライン'99 准看問題
准看護婦の移行教育はどうなるか—厚生省検討会の議論によせて
廣瀬 智子
1
1阪南中央病院
pp.64-68
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905752
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不安か残る中で
私は,312床の地域密着型病院(看護職226名,うち准看護婦50名)の看護部の責任者として,准看護婦制度の矛盾を痛感してきた.そのため「21世紀初頭の早い段階を目途に,看護婦養成制度の統合に努める」とした1996年12月の厚生省「准看護婦問題調査検討会報告書」(以下,「厚生省報告書」とする)1)を積極的に評価し,その早期実現に強い期待を寄せたものである.
しかし翌1997年12月15日,厚生省健康政策局長から日本医師会会長および日本看護協会会長宛に,「准看護婦問題調査検討会報告の今後の対応について」と題する通知が送付されるという予想しない展開となった2).さらに「厚生省報告書」に同意したはずの日本医師会が,「准看護婦制度は堅持された」と表明するに及んで,准看制度問題の前途の多難さを再認識せざるを得なかった.そして今年3月,97年12月の通知を受けて「准看護婦の資質の向上に関する検討会」と,「准看護婦の移行教育に関する検討会」(以下,「移行教育検討会」)が厚生省に発足した3)が,この2つの検討会発足の経緯と意味が「厚生省報告書」の流れからすると明らかでなく,討議の行方に不安が残るものであった.
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