連載 家族の肖像・3
ある選択
柳原 清子
1
1日本赤十字武蔵野短期大学
pp.948-951
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905688
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『ぼくの兄はこの本に登場するつとむの弟のゆういちと同じ白血病です.白血病とわかった時,つとむのお母さんは泣いてしまいました.とても悲しかったんだと思います.なぜなら僕の母も兄が白血病だとわかった時は泣いていましたし,僕もとてもショックを受けたからです.……僕が「カギっ子」になってうれしかったのは初めの頃だけでした.母が忙しそうに,病院と家を行き来したりする姿を見たり,兄の病気がますます心配になったりして,だんだんとさみしくなっていったのを覚えています.……ゆういちが退院した時,とてもうらやましく思えました.兄はまだ治療中です.完全に治るまでには時間がかかりそうです.兄はもちろん病気に負けまいとがんばってくれています.その兄を家族みんなで応援しています.骨髄移植で治るなら,僕の骨髄を兄にあげてもいいかな,とこの本を読み終わった時思いました.……』
佐籐さんの次男啓太君(小学5年)が,骨髄バンクの「金色のくじら」の感想文として書いたもので,あれからもう5年が経とうとしている.
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