特集 快適排泄ケアのためのワンポイントアドバイス
アドバイス
1 患者の心理に配慮した排泄ケア
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.824-826
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905660
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排泄は文化
私は心理学者ではないので,排泄にまつわる患者の心理といっても,専門的なことはお答えできないことをまずお断りしておきます.そのうえで考えると,排泄というのは,子どものころから身についている生活習慣で,ひとつの文化です.日本の場合でいえば,排便や排尿の欲求を感じたときに,個室のなかで誰からも見られないで自分なりのやり方で排泄して,自分なりの始末をして出てきて,「ああすっきりした」という快感を体験する行為だと思います.
それが,病気になったり,障害をもったり,高齢になったりすることによって,いままでやってきたように排泄できなくなると,人は当惑し,困惑し,次に悲嘆し,次第に諦めていくと思います.「下の世話をしてもらうくらいなら死んだほうがまし」といわれるくらいに,排泄が自分でできないとか,自分の決まったやり方で維持できなくなったとき,人はとてもつらく苦しい体験をするのです.
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