連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・20
新しい看護のパイオニアたち—創造的実践とベンチャーマインド
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.782-785
発行日 1998年8月1日
Published Date 1998/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905653
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はじめに
「入院していても,もうこれ以上良くならないから家で見たらどうかといわれました.でも,痰が多くてのどに穴が開けられ,カニューレが入っているのです.このような息子をどうやって見たらいいのでしょうか」.交通事故で自力では何もできなくなった16歳の息子をかかえた両親の葛藤1).
また,ガンの末期,「痛みさえ何とかなるのだったら,最期は家庭で迎えさせたい,家族で面倒をみたい」という人々の願いもある.しかし,実際にその現実に直面して,その願いが実現できるとは限らない.住宅環境はもとより,介護の知識や経験もない家族の逡巡に加えて,専門的な疼痛のコントロールに責任を負う体制も確立していない.そこで,二の足を踏んでしまうことはよくあることだ.
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