特集 入浴をみなおす
安全な入浴ケアのための生理学的判断指標と入浴援助基準—心筋梗塞患者の場合を中心に
寺町 優子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.715-721
発行日 1998年8月1日
Published Date 1998/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905642
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はじめに
入浴によって,身体を清潔にし,心身の疲れを癒し気持ちの良い快感を味わおうとする日本人の習慣は,長い文化的な風土によって培われてきたものであるが,これが,疾病の発現によって制限されるということになると,多くの患者は多かれ少なかれ苦痛を味わうことになるであろう.特に,心筋梗塞患者においては,入浴は心負荷が強いとして発症早期から清潔ケアのひとつとして積極的に取り上げられてこなかった経緯があり,このような考えの背景には,入浴の負荷が実証的にほとんど検討されていないという現状がある.
しかしながら,最新の入浴に関する研究によれば1),慢性心不全患者の温水浴およびサウナ浴における血行動態はその実施後に改善するというきわめて興味深い報告もなされており,疾病の病態と入浴時の循環動態との関連を科学的に検討する意義がクローズアップされてきている.
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