連載 カラーグラフ
なるほど人体—Human Body World・23
リンパ管は体液のバイパス路
坂井 建雄
1
SAKAI TATSUO
1
1順天堂大学医学部解剖学第一講座
pp.996-999
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905457
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最近の医学の進歩の中で,最も目覚ましいのは,免疫学の分野です.免疫系は,細菌やウイルスなどの外敵から身体を防衛するはたらきをします.しかし身体を守る免疫系のしくみがおかしくなって,かえってさまざまな病気を引きおこすことがあります.なんとなく免疫系と関係がありそうだなと思われている病気も数多くあります.免疫系の研究が進んで,そういった病気のしくみが明らかになって,さまざまな治療法が編み出されています.また免疫系をコントロールすることによって,それまで不可能だった臓器移植という治療も行なえるようになってきました.
さて免疫系は,リンパ管ととても深いつながりがあります.免疫という反応を行なうリンパ球は,血液の中の白血球の一種ですが,リンパ管を流れるリンパ液の中にも含まれます.そして細菌などの外敵に対して免疫を活発に行なうリンパ組織は,リンパ管の途中にあるリンパ節でよく発達しています.
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