連載 カラーグラフ
なるほど人体—Human Body World・11
尿をつくるしくみ・2
体液のバランスを保つ—尿細管のなかの役割分担
坂井 建雄
1
SAKAI TATSUO
1
1順天堂大学・医学部解剖学第一講座
pp.970-973
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905203
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尿をつくるちょっとぜいたくなしかけ
身体の水分と塩分の量は,ほぼ一定に保たれています.しかし食べ物や飲み物として,また息や汗として,身体に出入りする水分と塩分の量は,なかなか身体の中の都合にあわせて調節することができません.腎臓は,身体全体での水分と塩分の出入りのバランスがとれるように,尿をつくります.腎臓は,体液の成分を一定に保つ,つまり恒常性の維持ために,黙々とはたらく,責任感の強い臓器なのです.
水分をたくさんとりすぎれば,薄い尿がたくさんできます.汗をたくさんかけば,濃い尿ができます.腎臓は,身体のほかの部分での水分と塩分の出入りにあわせて,すばやくそして大幅に,尿の量と成分を変えています.このように尿の成分と量を臨機応変に変えるために,腎臓はちょっとぜいたくなしかけで尿を作ります.
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