原著
後腹膜リンパ節郭清後のリンパ流路の検討―側副路は存在するのか?下肢リンパ浮腫を起こさない方法は?
晴山 仁志
1
,
伊藤 公美子
1
,
羽田 健一
1
,
川西 康之
1
,
箱山 聖子
1
,
山村 満恵
1
,
内田 亜紀子
1
,
早貸 幸辰
1
,
平山 恵美
1
,
及川 衞
1
,
奥山 和彦
1
1市立札幌病院産婦人科
pp.283-290
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102600
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婦人科悪性腫瘍の後腹膜リンパ節郭清によって引き起こされる重篤な合併症の1つである下肢リンパ浮腫は,いったん重症化すれば日常生活が著しく妨げられ,QOLを損なう.
従来から,リンパ節郭清後に側副路が形成されることは指摘されていたが,その詳細は不明である.そこで今回,リンパ管シンチグラフィを用いて,後腹膜リンパ節郭清後の側副路を含めたリンパの走行を検討した.
その結果,主たる下肢のリンパ流は深鼠径リンパ節に至り,リンパ液が骨盤部のリンパ節を摘出したスペースに流れ,腸骨血管,腹部大血管に沿って側副路が発達すると推測された.また,深鼠径リンパ節と骨盤部を連結している外鼠径上リンパ節を温存することにより,外鼠径上リンパ節の保護されたリンパ管枝から側副路が形成されることが推測され,下肢リンパ浮腫の軽減・予防に寄与すると考えられた.
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